20歳の革命少女

 「G2 vol.5」(講談社 刊)を見ると、これはと思うものが2本掲載されていました。そのうちの1本が、『20歳の革命少女』(田中 良介 著)というもので、今時なんだこのタイトルはと思って読み始めました。

 中に出てくるこの女性の言葉に驚きました。”暴力革命はなされる“という事を言っていたからです。20歳そこそこの女性が、読んでいる限りでは、この矛盾した社会を変えるためには、必然的にそうなるということを思っている、しかも純粋に思っているようで、何十年前に戻ったような錯覚をお覚えました。

 著者の言うには、普通の現代っ子らしい口ぶりと姿で違和感を覚えるようですが。

 中核派の活動家なんですね。

 このルポルタージュは、2006年から、なんと100人以上の逮捕者を出している法政大学について、テレビ放映をするための取材を行うなかで知った現実、放映すべきかどうか迷いながら、最終的に放映しなかったテレビディレクターが描いたものです。

 最初に驚いたのは、100人以上も逮捕者を出していながら、まったく報道されていないという現実です。著者も、最初、そう思ったようです。

 今時の大学で、昔のようなアジ演説を行っても、無関心なんではないかと思っていたので、こんなに逮捕者が出るのなら、さぞかし法政大学はもめているのだろうと思って、読み進んでいくと、予想は裏切る現実の姿がありました。

 やはり、当初思っていたように、アジ演説をしても、ほとんどの学生は無関心であり、聞く者はいないのだそうです。

 では、何故、と思ったら、校舎を綺麗に建て替えた後、学内での演説や立て看の設置を禁止したんだそうです。

 思い出しました。以前、お茶の水の明治大学が校舎を建て替えた後、一斉に、建物の前を警備員が監視するようになったことを。

 中核派の拠点校である法政大学が、中核派を追い出したという事のようです。

 しかし、一部の中核派ではない学生も、大学への抗議に参加しているのかと思ったら、なんと、学友会の権限を排し、予算の配布権限を学校側が管理し、学友会の締め付けを行っているんだそうです。

 ようするに、学校の気にくわないサークル活動を金銭面そして設立許可から徹底して禁止していこうという事のようです。

 当然のことながら、警察と学校が共謀しているのは確かで、ここには、すでの学問の自由ということを捨て去った、企業学校の姿があるだけなのです。

 ジャージ軍団というジャージを着たプロレスラーのような雇用警備員が待機していて、誰かが、演説を始めようとする、有無を言わさぬ暴力をふるってくるんだそうです。

 警察・学校が守ろうとしているのは何なのか、学校とは何なのか、あらためて考えさせられます。

 そこには、校舎も新しくし、学内もきれいにし、世間映りをよくして多くの学生を入学させ、生き延びようとする姿しか見えません。

 学生は、単なる、金づるなんですね。

 文部省、公安、学校と、ひたすら金のために存続を図ることしか考えていないようです。

 教授会も大人しくなったもんです。

 学問の理想も、自由も、完全になくなった屍なんでしょうね、今の大学は。

 このディレクターが、取材したビデオを放映しない理由が良くわかりませんでした。

 放映が、偏ったものになってしまうのではないかと危惧しているようですが、どこかに視点を定めてしか撮影も編集もできないのは当たり前なんですから、放映すべきだと思うのですが、だって、普通のマスコミは、くだらない芸能ゴシップは放映しても、こういうものは放映するわけがないのですから。

 残念です。


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講談社
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