散歩とカツ丼

 「散歩とカツ丼」(日本エッセイスト・クラブ 編/文藝春秋社 刊)の帯に、”荷風が好んだかつ丼とは?”とあったので、おやおや、荷風が何かかつ丼に関する小説や随筆を書いていたっけ? と思いながら開けてみました。

 あれ、目次をみても、執筆者に荷風の名前がありません。

 なんだこの本は、と思って見直すと、10年版ベスト・エッセイ集とあるではないですか。

 つまり、2010年度のベストエッセイに選ばれた随筆を集めた本なのでした。

 藤原 美子さんの冒頭のエッセイ”「もし」の世界で”は、母親をかつて好きだった男性の話に始まり、”もしあの人と結婚していたら”と、ふと思う女性心を描いていました。クリントンとヒラリーの例え話は面白いですね。

 結局、男の運命は女性によって決まってしまうという事のようで。一理あるかなぁという気になってしまいました。

 ところで、本のタイトルになった荷風はどうしたと思ったら、本のタイトルになるぐらいなので、とりを務める作品でした。

 荷風があるいたと同じ川土手を歩き散歩をする著者。

 荷風のころと違って、冷蔵庫が流れて淀むような汚くなってしまったが、カモとかが元気に魚を取っている川を見たら、何と思うだろうと語っています。

 そして、荷風が食べたかつ丼の店がまだやっており、著者も、たびたび、このかつ丼やで、これが荷風の食べたかつ丼かと思いながら食べるのだそうです。

 そのかつ丼屋さんには悪いみたいなのですが、胃が良くなかった荷風にしたら、こんなに脂っこいものは余計に駄目だったんではと気遣っていました。

 時代が移り、風景も人間も変わってしまうが、たくましく生き続ける動物と人間を賛歌しているようでした。


散歩とカツ丼―’10年版ベスト・エッセイ集
文藝春秋

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