北山修 最後の授業

 「最後の授業――心をみる人たちへ 」(北山 修 著/ みすず書房 刊)は、元フォーククルセダーズの一員であった著者が、九州大学での最後の授業をテレビで公開した物を収録したということでした。

 つい最近、NHKで放映したようでしたが、全く知りませんでした。

 2010年の春に退官したんだそうで、もう、みんなそういう歳なんだなぁと、改めて振り返ってしまいました。

 このなかで、意識と無意識、表と裏という事を”ことば”を介して探っていくという、臨床心理の方法に関して、フロイトなど引き合いに出し解説しています。

 何故、著者が、フォーククルセダーズをやめ、この道を選んだかという原点が、語られています。

 アマチュアバンドであった彼らが記念に1000枚プレスしたCDが、周りの人間に販売したところ売れず、それではと思って世に出したところ、思いがけなく数十万枚と売れてしまい、否応なしにマスコミに登場するということへの違和感があったんだとか。

 ライブで数百人規模の前で歌うのとは異なり、視えない客が何万人といて、知らない人に声をかけられる、視られているという恐怖が、そこのはあったようです。

 本の中で、裏が裏でなくなって表になっていくことが人間存在にとって本当にいいことなのか、ということや、患者と先生という二人の関係での会話が重要ではないのか、あるいは、幼児にとって母親は鏡であり、身体的・情緒的に交流する重要性を語っていました。

 計り知れない人間の心の裏と会話する大切さを説いているようでした。

 すべてが、数値に置き換えられ、効率化という物差しだけで、臨床心理学の世界も、図られるようになってきて、薬の投与で、数として実績を残したりすることの方ばかりに目が行ってしまっており、長いこと会話をつづけて、自然治癒でよくなったのか先生との会話療法で良くなったかわからないような非定量的なやりかたは、駄目になってきているんだそうです。

 大学の善し悪しを、何らかの数値で図っていくことの中に、あるいは、仕事の中に、定量的には重要性が表しにくいものがるということを、再度、見直さないといけないのではないでしょうか。

 レポート作成、レポート判定、そんなことばかりに時間を取られ、忙しい忙しいという事で、本来の、人間としての重要な、具体的に交流して何かを影響しあうということがおろそかになってしまった現在の社会状況を、考え直さないといけないような気がしました。

 詩は、あなたのために書くのであって、国語の教科書に載るために書くのではないという、書くことの初源性という人間の、コミュニケーションの原点を大事にしようといっているようです。


最後の授業――心をみる人たちへ
みすず書房
北山 修

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