近衛文麿の戦争責任

 「近衛文麿の戦争責任」(中川 八洋 著/PHP研究所 刊)を読んでみました。以前出された本の抜粋が中心ということで、以前の本は読んだことがないので、こういう解釈をしている人がいるんだと、なるほどと思うと同時、そうかなぁと思う事もありましたが、問題提起の部分に関しては、やはり、誰が見ても変だなぁと思う事を取り上げていたので、興味深く読めました。

 15年戦争と鶴見俊介がひとまとめにした満州国創設から第二次世界大戦の敗北という区分を、1937年以前と以降では意味合いが異なるということで、何故、南方戦線に進軍し、圧倒的な生産力の差というものを分っていながら、日米開戦という敗北の道を歩んでいったのかを、近衛文麿こそが首謀者であるという観点から、無謀な戦争に突き進んでいく姿を描いていました。

 一言でいえば、ロシア共産党に結託した共産主義勢力のシナリオがあったのだということでした。

 戦争に負ける中から共産主義革命を目指していたということを立証しようとしている内容でした。

 それは、近衛文麿を中心に、朝日新聞、中央公論などを巻き込み、アメリカの共産主義者との連携し、ただただ、日本の敗戦とアジアの共産革命を目指したものであるということが語られていきます。

 日本が北進をせずに南進をし、英米と開戦せざるをえないように進めていったということが、近衛文麿の共産主義的な考えを基に論じられていきます。

 全体としては、近衛文麿が本当にそうだったのか、亡くなっているので分りませんし、彼の言う事を二枚舌・三枚舌ということで、共産主義的な考え以外に関しては揶揄していますが、本当に、欺くための詭弁だったのかは分りません。

 何か、近衛文麿の言う事をスターリンの論じることに無理やりあてはめて、近衛文麿を共産主義者と断じていますが、そうかなぁという気がしましたね。

 ハル・ノートは実際は、ハルではなく、ホワイトという後年ロシアのスパイであったことが分った人が作成したもので、日本が米英と開戦しなければならないように過激に書かれていた、ということでした。

 読み終わって、う~ん、と思ってしまいました。

 確かに、無理やり開戦した、しかも、ソ連の南下を阻止するのではなく、あえて南方に進出し、米英と開戦しなければならない道筋を何故選んだかは、大きな疑問ですが、著者の言うように、本当に、近衛文麿が考えた共産主義革命の一環なのかは、これだけの論証では、はっきりしませんね。

 面白いことは面白かったですね。

 ユダヤ資本で世界の支配を語るのと同じように、すべてを共産主義革命が目的だったとすることに収斂させることは、物語としては描けるでしょうが.....?


近衛文麿の戦争責任
PHP研究所
中川 八洋

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