作品としての電子書籍とは何か? 

 「ユリイカ 2010年8月号」(青土社 刊)は、『電子書籍を読む!』という特集を組んでいました。

 ぱらぱら読んでみましたが、”書物の行く末、編集の行く先 / 京極夏彦”というインタビュー記事の中で京極夏彦さんが言っていることが当を得た意見のようで、納得しました。

 つまり、データの配信と、出版とは全く違うもので、本が著者一人で出来上がっているものではなく、編集者やデザイナーなどといった作者以外の総合的な作業の集成として出来あているものである、という部分は、至極共感しました。

 さも、出版が紙から電子書籍になることで従来の書籍出版が危ういという事に対して、そもそも文芸誌などは、昔からそんなに大きな市場ではなかったので、世間でいうところの電子書籍出現で従来の出版があやうくなったというよりも、広告費売上に依存していた雑誌などといった高校依存体質に問題があったのだということは、おおむね、そのっとりんではないかなぁという気がしました。

 InDesignで入稿しているという京極夏彦さんならではの意見が続きます。

 現在の紙書籍での出版形態は、文字や紙などといったテキスチャーを含めて、作品として出来上がったもので、単に、文字列が並んでいるというものではない。

 その完成形ともいえる紙の書籍形態をただ電子化しただけではだめで、電子書籍なら電子書籍という別形態での深化をすべきであり、それは紙での書籍とは全く別物である。

 たとえば、電子書籍で、フォントを変えたり、判サイズを変えたりすれば、それは、もう作品として別のものと言え、そういったものとしての電子書籍を考える必要があるのではないか。

 などなど、リーダビリティだけではなく、電子書籍が持つ独自性を追求してこそ意味があるのではないかという事のようでした。

 作品としての電子書籍とは何か? ということに尽きるような気がしました。


ユリイカ2010年8月号 特集=電子書籍を読む!
青土社
2010-07-26
京極 夏彦

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