言葉はなぜ生まれたのか

 「言葉はなぜ生まれたのか」(岡ノ谷 一夫 著/石森 愛彦 絵/文藝春秋 刊)という本が、目に飛び込んできました。 

 小鳥が背広を着て座っている表紙が、何か、暖かい雰囲気を醸し出していて、私の脳裏に、これは読んでみなくてはという思いが起きてきました。

 どうやら、小学生向けの本の様な感じですが、書き方といい、イラストといい、丁寧な感じがして好感が持てました。本自体は、そこそこページ数があるようなkんじでしたが、読み進むとあっという間に、読み終えてしまいました。

 それは、著者が提示した仮説項目が4つであり、その一つ一つを検証していくという、分りやすい構成にあるということと、検証に登場する動物たちが、愛らしいく、また、著者の動物好きの優しさがにじみ出ているからではないかという気になりました。

 この本は、何を検証しているかというと、人間が使う言葉は、何故生まれたのかということと、このような人間が使う言葉というのは、果たして人間だけなのか、ということを4つの視点から問題提起し、ある仮説を検証しています。

 その仮説とは、”人間の言葉は、歌うサルから生まれた”というものです。

 まず、言葉と鳴き声の違いを説明し、言葉が持つ4つの条件(視点)が説明されます。

 発声をまねすること。

 意味と音が対応していること。

 文法があること。

 社会性があること。


 の4つです(読んできただけなので、多少のニュアンスなさがあるかもしれません)が、この一つ一つを、特徴的な動物を取り上げて、解説していきます。

 私が、へ~と思ったのは、発声をまねするという点で、鳥類の5割に、鯨類等は発声のまねができるのだそうですが、人間に近いといわれるチンパンジーなどは、出来ないのだそうです。

 類人猿では人間だけが、発声のまねができるのだとか、そうすると、ますます、人間がサルから進化したのかなぁと疑いたくなってしまいました。

 それから驚いたのは、昔、小学生のころ買っていたのを思い出しましたが、十姉妹は、鳴き声に、文法があるのだということでした。

 ある鳴き声の塊(チャンク)を区切りとして、その塊を入れ替えることで、何らかの文法の下に、違いを実現しているのだそうです。

 よくも、あの、鳴き声から、同じ様な鳴き声の塊を抽出したものだと関してしまいます。

 さらに、社会性という点では、よくサルの世界が取り上げられ、ボスサルを頂点とした社会性がいわれますが、これは、主に肉体の強さを主とした序列で、鳴き声などでは社会性が認められないのですが、ハダカデバネズミでは、挨拶の時に、下の者が上のものに挨拶をするときは、よくしゃべる(鳴く)のですが、逆の場合には、ほとんど無視されるんだそうです。

 いや、何か、言葉で上下関係を表すなんて、人間社会のような気がしてしまいます。

 これらの4つの条件を満たす能力を持つのは、人間だけみたいですね。

 息を止められる、息をコントロールできることが重要であるとか、そうだったんだと思うことばかりで、とても面白い内容でした。

 著者も言っているように、あくまでも仮説なんでしょうが、この本を読むと、これから鳥の鳴き声を聞いて文法を意識したりするかもしれませんね。ただし、文法はあっても、それは、恋の話みたいなんですが。

 大人が読んでも面白いですね。


言葉はなぜ生まれたのか
文藝春秋
岡ノ谷 一夫

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