軍事イルカ

 「DAYS Japan 8月号」(Days Japan 刊)の特集が『イルカを獲って何故悪いか』という特集を組んでいて、例の太地町のイルカ漁を取った、「The Cove」の上映の事を含めて取り上げていました。

 この映画が、ドキュメントを装った、というか、ドキュメントであれ、映画自体が特定の視点と偏向とがあるものだと考えれば、意図的に、イルカ漁を残酷なものとして描くこと自体に意味があったのでしょうが、それにしても、極めて独善的な自然観に基づいているとしか言いようがありません。

 血抜きのために海に広がる血の海を見たら、ある意味では、こころがいたみます。しかし、日本では、このような自然に対する人間の行為に対しても、自然への感謝と敬意を持っているわけです。それは、人間の食を考えた場合、生きるもの(動物や植物を含めて)を採取し、食さなければならないのは存在的に不可避な行為で、これは、誰もが逃れることのできないことです。

 こういう批判があるたびに、思いますね、それなら、多くの牛や豚や羊が屠殺される現場はどうなんだと。

 あの人懐こい牛を殺して食べているのは誰だって。

 その屠殺現場は、どうなっているんだと。

 アメリカやオーストラリアの屠殺の現場の映像を公開してみろって。

 私たちは、悲しいかな、人間が生きるには動植物を殺生をするしかないのですね。いや、これは人間だけでなく、多くの動物が、殺生するしかいないわけです。

 この特集では、イラク戦争で、機雷探査に使用したイルカの写真が載っています。

 何でも、イルカを軍事鍛錬し、このような用途に使うんだそうです。

 こっちの方が、人間としておかしいんじゃぁないですか。

 自分たちの残酷さは、屠殺場という閉鎖空間に押しとどめておき、他の残酷さを批判するなんていうのは、根本的に、間違っているでしょう。

 「The Cove」を上映するなら、「The Slaughter」なんていうのを並映しないといけないんじゃないでしょうかね。


捕鯨〈1〉 (ものと人間の文化史)
法政大学出版局
山下 渉登

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