ゼロから始める『歎異抄』

 岩波書店のPR誌”図書5月号”に、「ゼロから始める『歎異抄』」(伊藤 比呂美 著)というエッセイが掲載されていて、何気なく読んだら、”私”、”俺”、つまり自分というものに拘っている著者の想いが、ドリルのように頭をくりぬいてきました。

 著者である伊藤 比呂美さんに関しては、特に知っている人ではなかったのですが、結構な詩や小説を書いている方だと分りました。そういえば、何かで読んだような気がしたなぁというところでした。申し訳ありませんが。

 この著者が「歎異抄」に惹きつけられた過程が述べられます。

 ”弥陀の五劫思惟の願いをよくよく案ずれば、ひとえに親鸞一人がためなりけり”と書かれている点に、大きく心を奪われたようです。

 著者が拘ってきた自分というものと親鸞が言う一人がためとは、深さも、あるいは方向性も違うかもしれないが、その親鸞の自分というもの対する拘り、ましてや、近代とは異なる時代に、一人を思うということに痛く共感したようでした。

 累々とした死、明日も分らぬ不安、生きること・死ぬことってなんだ、そして一人に分断される現代、自立というより、迷い後の一人ぼっちになってしまったいる現代は、もしかしたら、親鸞の時代と何か、似通っているのかもしれませんね。

 どうしてあの世が極楽ならば、人は、どんどん死なないのか、など、この世とあの世、弟子唯円に答える親鸞など、著者は、唯円の声を通して親鸞の声を聞いているのでした。

 本当の親鸞の声は? 著者の探求が進みます。

 私は、著者が、”ひとえに親鸞一人がためなりけり”という部分に拘泥したことに、新鮮な気持ちを抱きました。
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伊藤 比呂美

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