吉本隆明の一九四〇年代

 「吉本隆明の一九四〇年代」(渡辺 和靖 著/ぺりかん社 刊)は、吉本隆明の戦前・戦中・戦後早期の1940年代、主に学生とし、米沢へ行ったりし、詩人としての資質を開花させていたころを取り上げ、吉本隆明が影響を受けた人物をとりあげ、自身の核となるものを形成していく足跡を作品を取り上げながら究明していくという、ちょっとこれまでとは違った、吉本隆明に影響を受けた人たちというものが多い昨今、逆に、吉本隆明の思想形成に大きな影響を及ぼした作品との出会いを論じていました。

 吉本が、花巻に直接行くほど惚れ込んだ宮沢賢治からの影響を重要視し、丁寧に描いているようでした。最初の方では、吉本の詩集「呼子と北風」と「草莽」を中心とした、吉本の根源の自然に対する、宗教・倫理に対する、そして鮎川信夫に通じるモダニストの一面などが語られます。

 特に、「呼子と北風」に収集されている詩の成立順序が、他の人への影響を考えると非常に重要であり、著作集や全詩集に記載されている、「呼子と北風」の各作品の成立順番は矛盾があるということを詰めていく部分(詩集稿『呼子と北風』の編纂時期をめぐって)では、なるほど、宮沢賢治のめり込んだ後に、この詩ができないとおかしいよなぁと思わせるように、論理だてて考証されているのには驚きました。

 「草莽」にみられる戦争詩の一面における吉本の戦争への思い。

 小林秀雄、保田與重郎等の影響と脱出。

 初期、吉本の自立への苦闘を、影響を受けたとされる人と対比しながら論じている点は、比較することで、はじめて、吉本が何に共感し、何を払しょくしていったのかが分り、非常に、面白い版になっているという気がしました。

 本屋さんでの立ち読みなので、大まかなニュアンスしか覚えていませんが、これは、買ってじっくり読んでいい本かなぁという気にさせてくれました。

 はたして、”大衆の原像”は、何処から出てくるのでしょうか、たのしみです。


吉本隆明の一九四〇年代
ぺりかん社
渡辺 和靖

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