たんぽぽの日々

 「たんぽぽの日々」俵 万智 著/市橋 織江 写/小学館 刊)には、著者が母親となり、かけがえのない子供との時間を、短歌にしながら綴ったエッセイです。

 表紙にものっている、「たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから」という歌にひかれて読んでみました。てっきり歌集かと思ったのですが、著者と息子の日々の交流のなかで、成長する子供の言葉に、態度に、驚きを感じている様が、よく描かれていました。

 タンポポと同じように、息子も、いつかは巣立っていき、そうなったら親は何もしてあげられない、たんぽぽのように、どこかで引っかかり、あるいは、遠くへ飛んで行ってしまうかもしれない、人間の親子も同じだと感じる著者の声が聞こえてきます。

 自分の時間がないと子育ての女性がいうのに対して、その自分の時間とは何か、そういう母親たちが思い描く自分というものが、結局は他人と交換性のあるものでしかなく、子供との時間は、他人とは交換のできない貴重な時間であるのではないかと言っていました。いや、全くその通りだという気になりました。

 「子育てのつらさ = 自分がない」と短絡することに違和感を覚えていましたので、女性で、こういう考え方を持たれるのはさすがだなぁという気になります。男が間接的に思うのと、当事者である女性が言うのでは大きく違うので、感心しました。

 特に、後ろの方で、お子さんが、「おかあさんは、大人なの」と聞かれたくだりは、身につまされました。

 大人って、いつなったんでしょうかね。

たんぽぽの日々
小学館
俵 万智

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