印刷業の終焉-2

 「活字→手動写植→電算写植」と制作方法が変化してきた印刷業ですが、あくまでも専門の職人を前提とした制作ツールであり制作工程でした。

 ところが、コンピュータの進化と大衆化という流れは、コンピュータの上で、「活字時代の文選と植字あるいは手動写植」という、オペレータが可視的に組み上げ組版していくという方法を実現してしまいました。デスクトップパブリッシング(DTP)の登場です。

 このことは画期的であり、それまでの活字での文字を拾ったり、手動写植での裏文字を選び印字するという困難な作業を、文字を入力するエディタのような、誰でもが容易に操作することができる手法で、なおかつ、WYSWYGという組み上がりの状態を見ながら文字入力をすることができ、そこそこきれいに組版するということを、いわゆる素人という人にまで幅広く実行できる環境を作ってしまったのです。つまり、専門職の解体です。

 しかし、当時は、電算写植全盛の時代であり、黎明期のDTPの制作スピードや組版品質、書体の少なさなどから、すぐに普及するということはなかったのですが、コンピュータの高機能化とか価格の低下、書体の増加、DTPの組版品質の向上など、DTPの欠点の改善が大幅になされた結果、WYSIWYGではない電算写植機の扱いにくさと扱うオペレータの教育コストなど、電算写植の欠点とみなされ、安価かつオペレータの非専門性という投資コストの低減から、パソコン+DTPという流れに、いっきょに傾いていきました。

 当選のことながら、パソコンの普及ということが、それまでの電算写植の、専門性を無化したとも言えます。ここで、旧時代の最後の専門職も解体されたといえます。

 この段階で、組版するという活字→手動写植の職人の技量も、多数ページを効率よく組み上げるための入力方法や組方の方法を考えていた電算写植の職人の技量も、その価値を失い印刷業から消えていったのでした。

 残るは、素人とほとんど変わらないような見た目の組版にこなすオペレータと多数ページを賄うために大量に供えられたパソコンということになってしまいました。

 もう、こうなると、組版というよりは、猫も杓子もデザイナーなのです。本当にデザイナーかなぁと思う人まで、デザイナーになってしまったというわけです。

 印刷業から組版がわかる人も、効率よく制作を行うワークフローや入力方法・組版方法を考える人もいなくなってしまったということになります。

 実は、この段階で、印刷業の組版編集という部分は、まったく機能しなくなってしまったといえます。

 さぁ、どうするか、簡単です。他人任せです。

 効率やワークフローはシステム開発会社に、組版は、組版ソフト開発会社に、おまかせなのです。

 そして悲惨なのは、印刷会社が、それら開発会社に、まともに要求仕様を伝えられなくなっているということです。

 パソコン + WYSIWYG・DTPを安易に(何の考えもなく)導入し、組版の専門性を壊してきた一つの帰結と言えます。

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