遍照金剛

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zoom RSS クレイになれなかった男

<<   作成日時 : 2009/10/30 23:10   >>

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 ブックファーストの新刊のコーナーを見ると先週のところに、「敗れざる者たち」(沢木 耕太郎 著/文藝春秋社 刊)があったので、新刊? と思って手に取ったら、再版が先週されたということでした。しかし、奥付を見ると、諸藩は、もう30年前になるんですね。

 沢木 耕太郎は同い年とあって、注目するひとりなのですが、特に、この本の、カシアス内藤を描いた『クレイになれなかった男』は、何度も読ませるもののようで、今日も、立ち読みしてしまいました。

 カシアス内藤の、明日のジョーになりきれない、いや、なることを拒む”優しさ”を感じざるを得ませんでした。くしくも、エディタウンゼントが言った、カシアス内藤は上手だ、が、ガッツがないと言わしめる、彼の存在そのものに潜む、他人への"優しさ"が、プロのボクサーとしての、あるいは格闘家としての一番への渇望を遠ざけていたのだという気がして仕方ありません。

 母親が、黒人のアメリカ人と日本人の母親との間に生まれた混血であることを、小さい時から自覚させるように育てた書いてありましたが、内藤 純一にとって、それは、カシアスクレイのように燃え尽きることに喜びを感じることではなく、他人に優しくすることを喜びとするように育ったような気がして仕方ありません。

 内藤 純一は、カシアス内藤には向いていなかったのでしょう。

 彼の憧れ望んでいた体育教師のような存在になることが、本当は、彼に向いていたのではないでしょうか。ここに、カシアス内藤として生きざるを得なかった人間の悲劇を感じないわけにはいきません。

 それは、また多くの私たちの存在のような気がします。

 読んでいると、柳 斉斗といった懐かしい名前も登場するので、あの頃のボクシングを思い出しますね。

 ボクシングという世界の裏側も書かれており、肉体を商品としないといけないプロ格闘家の危うさを感じてしまいます。

敗れざる者たち (文春文庫)
文芸春秋
沢木 耕太郎

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