星をつくった男

 「星をつくった男―阿久悠と、その時代」(重松 清 著/講談社 刊)は、阿久悠が多くの歌や小説などを作り続け、こころの隙間を埋めていく姿を、重松清さんが、阿久悠の足跡を尋ねながら、阿久悠とは何だったんだろうかということを追い求めています。

 阿久悠の歌に出てくる素材は、たとえば、自分の心を映すものとしての鷗、自分の心を託すものとしての鷗、そこには、自由に飛び交う鷗に、ある時は、寂しさを、ある時は希望を、映し、託すものとして、多重の意味を持たせられます。

 石川さゆりが言っている、津軽海峡冬景色をうたうには、詩の表面にはない、行間を読まなければならないということを求められた様に、聞くものは、自ら、想像を最大限に働かせて、自分の歌を作り上げていく様な感じになるという、聞く者を引きつける歌の秘密があったのではないでしょうか?

歌謡曲は「時代を腹に入れて巨大化し、妖怪化する」と阿久悠は言った。だが、その「歌謡曲」を「阿久悠」と置き換えてもいいのではないか。歌謡界の巨人・阿久悠は、時代をどんなふうに食べて、どんなふうに言葉の血肉としてきたのか。
――「プロローグ/32年目の津軽海峡・冬景色」より


 と、著者は述べていますが、その、阿久悠が不可避に持ってしまった空疎感がどこからきているのか、阿久悠の育った淡路島、父親が警察官であり、敗戦により、サーベルを取り上げられ、普通の人となった父親の姿、父の転勤ということからくる土着するという感覚のなさ、などといった様々な要素を取り上げて、論じていきます。

 同じ年齢で、すでに国民的有名人であった美空ひばりとの出会いでの緊張して、ほとんど口をきけなかった様子など、そして、風采は別として、心では、二枚目であると思っていたのではという捉え方に、なるほどなぁと感心しました。

 量も質も満たそうとせざるを得なかった阿久悠の多産な作品を生み出すエネルギーが何処から来ているのかが、一つ一つ実地検証されていくようで、引き込まれていってしまいました。

星をつくった男 阿久悠と、その時代
講談社
重松 清

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