脱「ひとり勝ち」文明論

 ”脱「ひとり勝ち」文明論”(清水 浩 著/ミシマ社 刊)を見ると、それは、あの慶応大学で電気自動車エリーカを開発した清水さんの文明論でした。

 著者の、これまでの開発の話から、どのような開発スタンスを取っているのかが分かります。最初の大規模開発であるレーザーレーダーでは、どうしても遠距離の探査をするためには、レーザーのパワーを上げなければならないという部分がネックになっていたのを、発想を変えて受信用の望遠鏡の口径を大きくすることで問題を解決。あるいは、電気自動車では、電池が問題であったが、電池の問題に固執せずに、モーターや車体の構造に着目し、エリーカのようなインホイールモーターや8輪車により問題を解決。

 著者は、やはり大型予算で解決しなければできないということを感じ、大型予算がつくようなタイミングをとらえてきたんだなぁと感心しました。一挙にやらなければならない時期、それには、どうしてもお金がかかるということがあるようです。

 今、まさに化石燃料を主体とするエネルギー革命で作られた世界から太陽エネルギーを主体とするエネルギー革命の時代になっていると主張しています。そのことにより「ひとり勝ち」という勝ち負けの時代から、共生できる世界への転換が図れるのではないかと言っています。

 つまり、資源の偏在による富の独占と権力の独占、ということから、誰でもが平等に利用できる太陽エネルギーを使用することで、富の公平なる分配が行えるからではないかと思います。

 著者は、この太陽エネルギーを利用することで、環境問題にも貢献でき、一石二鳥であると言っているようでした。

 ここにきて、日産自動車が、初年度から5万台という大量の電気自動車の発売を発表し、踊りきましたが、普及のためには、大量生産品として工業化されなければならないということが明確であり、この難関をクリアしなければならないのだとすれば、日本政府は、もっと本腰を入れて、太陽エネルギーの普及・インフラ整備・雇用創出という展望を考えるべきではないかという気がしました。

 何しろ、戦争がない平和な世界を考えるならば、太陽や水や空気といった、どこでもある資源を、それこそクリーンに利用できるエネルギー社会を築き上げていくしかないのではないでしょうか?

 ボトルネックに対する柔軟な視点移動による問題解決という方法論と太陽エネルギー社会への転換ということを真摯に述べていて、とても参考になりました。

脱「ひとり勝ち」文明論
ミシマ社
清水 浩

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