MAGICエンジン

 「MAGICエンジン」とは、「MAGnesium Injection Cycle Engine」のことです。マグネシウムという金属を使った、新しいエンジンのことです。

 ちなみに、”マグネシウムエンジン”を検索キーにして、Yahooで検索すると、引っかかってくるものの上位は、BMW直6のエンジンであるマグネシウムエンジンのことが出てきます。これは、エンジンブロックに、マグネシウムを使うことで、BMWがV6エンジンに移行する自動車メーカーの中にあって、唯一、直6エンジンを作成していく上での、新しいエンジンのことでした。

 これ自体も、エンジンブロックにマグネシウムを使うんだと思って感心したのですが、実は、驚いたのは、この自動車エンジンのことではありません。

 「週刊ポスト 5月25日号」の『メタルカラー/無尽蔵のマグネシウムと太陽光で熱と水素を大量供給 』という、ノンフィクション作家の山根 一眞さんの東京工業大教授矢部 孝さんに対するインタビュー記事です。

MAGICエンジン


 何がすごいって、化石燃料を全く使用しないエネルギー製造を可能とするからです

 地殻の物質中でも,8番目に多い元素マグネシウムを使って、本当に、他の代替エネルギーとは異なり、全く化石燃料のお世話にならず、CO2も排出しない、いわゆるクリーンエネルギーだからです。

 太陽光励起レーザーを用いて酸化マグネシウムを還元し、金属マグネシウムと水の加水反応で、マグネシウムの発熱を促し、このとき、水(H2O)を反応して、酸化マグネシウムと水素が作成されるので、マグネシウムの発熱エネルギーを使うもよし、水から作成された水素を使うもよしということで、クリーンのエネルギーを利用できることになるそうです。出来た酸化マグネシウムは、また再利用できるという循環システムを形成することが可能になっています。

 ナトリウムとかマグネシウムとか、取り扱いが難しいと思っていたのですが、マグネシウムは酸化マグネシウムが金属マグネシウムの表面を被ってしまい、直接酸素とふれないので、危なくないということでした。

 太陽光励起レーザーといった、太陽光でレーザーが励起できるのも初めて知りました。

 2006年4月12日に、国立大学法人東京工業大学/三菱商事株式会社が、『化石燃料を使用しない、無公害新型エンジンの実験機が完成』と題して、プレスリリースを出していました。

 そのプレスリリースでは、次のように言っています。

新型エンジンは、「MAGIC(Magnesium Injection Cycle )エンジン」と言い、東京工業大学矢部教授・生田特任教授らが、品川区の精密加工メーカーである小野電機製作所の協力を得て開発を進めて参りました。
直径約5cm、高さ13.5cmの小型ながらも、数十kw の熱出力が発生し、動力が得られます。マグネシウムと水で燃焼する本エンジンは、化石燃料を使用しない、無公害型で、従来のエンジンとは全く異なるものです。推力が可変であるため、コジェネレーション、自動車、船舶などの、CO2 排出ゼロの新型エンジンとして期待できます。
また、副産物としてできる酸化マグネシウムは、既に開発が進んでいる太陽光励起レーザーを使い、分解してマグネシウムに戻し、繰り返し利用します。これは、文部科学省 科学技術振興調整費による成果でもあり、今後さらに、研究を進め、3年後の実用化を目指しています。
本プロジェクトは、マグネシウム(Mg)と太陽光という枯渇の恐れのない2 つの資源を用いて、CO2 排出ゼロの循環型エネルギーシステムを創り出し、持続可能な社会を実現することを目指すものである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
化石燃料に依存しない循環型クリーンエネルギー社会の構築を実現するため本プロジェクトが推進するエネルギーサイクルは下図の通りである。その根幹技術である「太陽光励起レーザーシステム」、「Mg 還元システム」、「Mg 加水反応システム」が東工大にて開発中である。最近では、化石燃料を使用せずMg と水のみで燃焼する無公害新型エンジンの実験機が完成した。


 これは、画期的な話で、本当~!!と驚くばかりです。

 この話を調べるのに、東京工業大学のホームページを見たら、結構、いろいろな分野の注目すべきことが書いてありました。

 「国内最高速スパコン,4月3日より稼動」では、「TSUBAME (Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)」と呼ばれ、理論演算性能は約85テラフロップス(毎秒85兆回の浮動小数点演算を実行)で、海洋研究開発機構「地球シミュレータ」(理論演算性能約40テラフロップス)をはるかに上回る能力を持っています。

 「細野教授のグループが開発したアモルファス酸化物(α-InGaZnO)半導体を用いて室温でプラスチック基板上に薄膜トランジスタ(TFT)作製し、フレキシブルな電子ペーパーを試作しました」

 などなど、興味深い研究がされているみたいですね。

 大学も変わっているみたいです。

 最後に、MAGICエンジンに関して言えば、マグネシウムの製造、供給、保存、運搬の手段、価格、装置の大木さ、価格、などなど、社会的に利用することが可能なのかどうか、早い実証を望むものです。この反応過程では、マグネシウムは原理的には、減らないんでしょうか?

 心配なのは、三菱商事がかんでいるという点でしょうかね。

**(追記 1)

 以前に、マグネシウムではなく、カルシウムと水を反応させる燃料電池が発表されていました。米国企業DHCテクノロジー社と日本の大同メタルが合弁で設立する、ニューウェーブ株式会社だそうですが、その後、この燃料電池はどうなったのでしょうか?

 今回のマグネシウムと水の反応を利用する方法が、ニューウェーブ株式会社と異なるのは、マグネシウムを用いることで、Ca(OH)2(水酸化カルシウム)という強いアルカリの性質の生成物質が発生しないことと、一番の関心は、太陽光励起レーザーでの酸化マグネシウムの還元という部分ではないでしょうか?

 今回のエンジンでは、この部分は実験できたのでしょうか?

**(追記 2)

 矢部 孝教授は、2005年9月13日に、太陽光励起によるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーの発振に世界で初めて成功し実証し他という記事がありました。

太陽光励起によるYAGレーザー


 上記の写真が、太陽光励起YAGレーザーの中核となる部分だそうですが、特許出願中とのことで、明確には分かりません。

 このレーザー発信器は「YAGに粉末焼結法による普通の“セラミックス”素材を用い、形状も四角柱とのこと。2005年中に変換効率50%を達成する計画であるということでした。

 すでに、基本的な個別の技術要素は確認できているようですね。

 こうなるとエネルギーを循環できるという実証装置の公開が見たいですね。

*2007/5/17

 燃料電池ということでは、”日立マクセル(東京)は24日、水とアルミニウムから発生させた水素を燃料に使う燃料電池を開発したと発表した(4月)”とあるように、水と反応させる金属原子が異なるものが、色々出てきますね。

 ただし、マグネシウムと異なり、反応性生物のAl(OH)3という水酸基生成物質の処理をどうするんでしょうか?

 単なる、燃料電池と異なり、MAGICエンジンの原理では、金属物質の還元ということを考えに入れているので、優れているような気がします。

*2007/5/21

 「週刊ポスト 6月1日号」でも、引続き、対談が続いていました。

 何でも、紙飛行機のお尻に、水滴を1滴たらし、それをレーザーで照射して、飛ばす実験に成功したそうで、ニューヨークタイムズに掲載されたという、写真が紹介されていました。

 ボーイング社が興味を持っているということですが、不思議な話ではないでしょうね。

*2007/5/27

  「週刊ポスト 6月9日号」では、インタビューの最後の記事となりました。

 太陽光励起レーザーでの変換効率を上げるには、ネオジウムクロムを入れるのだそうです。結晶成長中にクロムを入れるのが難しく、この製法を考え出したとのこと。

 ただし、この部分に、太陽光を集めるのが難しく(太陽は移動するため、追尾方式にするとコストがかかりすぎる)、この解決方法として、フレネルレンズを使用しているということでしたが、このあたりは、まだまだ問題がありそうです。

 しかし、千歳に実証装置を作成中であり、ドバイでも大規模な検証を行うそうです。

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